全国的な寒波で北海道は記録的な大雪、昨年と比べると1ヶ月は冬が早まった様子です。 空の移動は直前まで予断を許さず、欠航は免れども遅延や空中待機、果ては出発地へ引き返す。。。
Adventカレンダーの18日目はストレスフルな空の旅をちょっぴり楽しむ秘訣を記してみます。
そのそも飛行機は鉄の塊、空を飛ぶとは信じられぬと鉄道主義を貫く方もあるかも知れません。
遠い学生時代の記憶で、飛行機の羽の上下を通る空気の速度の違いにより圧力の低くなった上方に羽が引っ張られるからとベルヌーイの定理で説明された多くの方は騙されています。これだけで浮揚するほど鉄塊は軽くありません。
河原の水面で石切り遊びをするように、前方に上向いた羽の確度により羽が空気を押し下げ、反作用の法則で機体が浮く。が、これも不十分。アクロバット飛行では反転した途端に地面へ向かって急降下です。
細かい説明は流体力学を必要としますのでGoogle先生で調べて頂くとして、ポイントは後ろが尖った羽の形状と、これにより発生する羽付近の渦が深く関係しています。飛行機の離陸時、羽が作り出した渦の残骸が後方に見えたら安心して空の旅をお楽しみください。
もうひとつ、みなさんは「まんまる」な虹を見たことがありますか?
虹は光の屈折と反射と人間の目が生み出す現象です。
太陽光という平行光線が水滴の表面で (1)屈折して水滴内部に侵入、(2)水滴と大気の境界線で反射、(3)再度水滴から大気へ飛び出す際に屈折、この(1)と(3)の屈折による入反射の最大確度は光の波長により若干の差を生み出します。つまり赤~青の光の波長の違いがプリズムの如く分離されます。
(2)の反射により虹は必ず太陽と人間の頭の延長線、すなわち人間の目から見て太陽を背にした真反対を中心に現れます。日本では南の方角に決して虹は現れません。
雨上がりの午後、太陽がある程度低くい時間帯に虹を見やすいのは、太陽光を浴びつつ遠くの水蒸気による反射を観測できる為です。
この理屈により、太陽と雲の間を飛ぶ飛行機は絶好の虹観測ポイントです。太陽と飛行機の延長線上の雲に映る飛行機の影を見つけてください。雲と飛行機の距離や雲の状態にもよりますが、影の周りにまんまるな虹を見出すことが出来るでしょう。
ちなみに、虹の周りにもうひとつの大きな薄い虹(副虹)を見たことはありますか?
これは(2)の反射の後もう一度水滴内で反射してから大気へ飛び出した光の産物です。よく観察すると主虹とは反対の順に色が並んでいます。
狭い機内での長旅、少し物理学の豆知識を備えておくと自然の美しさを楽しめます。