この記事は atWare Advent Calendar 2015 の21日目の記事です。
2015年10月19日、20日に東京で開催された認定スクラムマスター研修に参加してきました。
講師のJames O. Coplienさんと川口さんにも感謝するとともに、成長のチャンスを与えてくれた会社に感謝しています。
これまで1年ほどアジャイルでの開発に携わってきましたが、今回の研修に参加することで再認識できたことや新しい発見もたくさんありました。
忘れないうちに、私が感じたスクラムの間違いやすい点や感想をまとめてみます。
まずは、スクラムの概念で間違いやすいところからです。
POはデイリースクラムに参加する必要はない?
スクラムガイドには特に決まりはないですが、POは定期的にデイリースクラムに参加したほうがいいです。
理由としては、まずPOもスクラムチームの一員です。
POはビジネス価値と詳細要求仕様を開発チームに届ける役割を担っています。デイリースクラムで開発チームの発言をきくことで、「届ける内容」をよりわかりやすいものにすることができます。
スプリントレトロスペクティブ(振り返り)におけるPOの役割は何ですか?
どのようにPOが関与するのかは、スクラムチームが定義します。
スプリントレビューの主な目的は何ですか?
ステークホルダーが、チームが作ったものを確認し、次に何をすべきかについての意見を与えるためです。
スプリント中に、変更があったらどうしますか?
変更はビジネス価値があり、プロダクトオーナーが許容できる期間内にチームが対応でき、かつプロダクトオーナーが承認した場合は、開発作業中いつでも受け入れます。
チームは最初のスプリントでは何を行いますか?
スプリントゴールを定義します。
次は、超個人的な感想です。
スクラムはイノベーションを生み出せる
まず、スクラムの特徴である「改善」です。「改善」の延長線上にイノベーションがあるというのはよく耳にする話です。
そして、スクラムはチームで仕事を進めるためのフレームワークにすぎないと思われるかもしれないですが、独創的問題解決プロセスを活用することでイノベーションを起こします。このプロセスの1つは、解決方法を探るときは、チームメンバーが集合してブレストを行い、アイディアを上げていきます。そして、全員が様々な意見を出し、それを参考にブレストすると、更にアイディアの質も量もよくなります。
常に優先順位の高いものから消化していく
POがエンドユーザのフィードバックや市場状況の変化に応じて、価値が大きくなるものを優先して順位をつけ、常にその優先度が高いものから消化していくことで、無駄を最大限に減らすことができます。
オープンで生産的なチーム
スクラムでは、チームメンバーに指示を出したり、チームの方向性を決めるリーダーは存在しません。
全部がそうではないと思いますが、一部の保守的な開発チームには、タブーとなっている話題があり、通りたくない道を進まないようにしています。まれに、自分に割りあたったタスクが何のためにあるかがわからない時もあります。
アジャイルでは、温かくあいまいではなく、オープンで生産的なチームを作ろうとしています。
チームメンバーは一人一人が常に自分のやっていることに責任を持ち、自分がやっていることでどんな価値を生み出していくのかを理解し、誰もが議論を始めることができ、そして、誰もが言い難いことをいえます。
スクラムチームではのんびりすることはありません。ただ待つだけの人もいません。
チームの疲弊を防げる
「リリース日に合わせてスコープを調整する」あるいは「スコープに合わせてリリース日を調整する」。
リリースに向けて追い上げることはしないことで、スケジュールに追われて疲弊になることはないです。
「場」を大事にする
スクラムでは関係者が同じ場所に集まって、コミュニケーションを大事にしています。
POがエンドユーザーの声をよく聞く、開発チームはPOの仕様をよく聞く、自分が作りたいものだけを作ったら単なる自己満足にすぎません。エンドユーザーにとって、価値のあるものを作れなければなりません。
バグはいいことだ
英語で言うと、”Safe-Fail, NOT Fail-Safe”です。スクラムは安全に失敗をさせます。
you should be what you want to be
スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学での卒業スピーチの最後でも似たことをおっしゃっていました。
ただ、現実は甘くなく、いろいろな”障害”が発生します。
例え障害があっても、自分ができることは必ずあるはずです。自分ができることを探し、実行しましょう。
最後に
スクラムマスターの資格が取れても、それは終わりではなく、ただのスタートです。(講義中にCoplienさんがおっしゃったことです。)
私自身スクラムマスターの認定をうけてもうすぐで2ヶ月がたちますが、日々の仕事で大きな変化はありません。学んだ知識を日々の仕事にどう活かしていくのかを常に考えています。
自分は何ができるのか、何か改善できることがないのかを常に心かけ、毎日の小さな努力のつみ重ねが、いつか点と点を結ぶことができると信じています。